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2007年9月 2日 (日)

調べないでいい加減なこと書いてるし

さて、心機一転と言ったが、面白くないことがあったのでヤツアタリだ。

犠牲者は、こちら:

日経BP IT Pro
誰でも始められる「セカンドライフ」
第4回 コミュニケーションの基本「チャット」を覚えようhttp://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070812/279730/

この記事に、いろいろと技術的に真実でないことがたくさん書かれているので、それを重箱の隅をつつくようにして、いちいち指摘しようという企画だ。

チャットでは日本語も使えます。ただし日本語圏以外の人はOSに日本語フォントがないので,日本語のチャットが見えなくなります。

そんなこと、ない。

まず、MacOS X では、世界中どこで販売される Macintosh でも、何語版としてインストールしても、必ず日本語フォントがインストールされる。Second Lifeで使う日本語フォントは「ヒラギノ角ゴ Pro W3」だが、これは、アメリカで売られている英語版でも、ドイツで売られているドイツ語版でも、必ずインストールされている。ユーザが、わざわざファイルを削除しない限り、必ずある。だから、Macintoshユーザには「日本語フォントがないから日本語が表示できない」なんていうことは無縁だ。

次にWindows。残念ながらWindowsの場合、アメリカで販売されるWindowsパソコンでは、日本語フォントはインストールされていない。ヨーロッパでも、そうだ。しかし、中国で販売される中国語版や、韓国で販売される韓国語版には、日本語フォントがインストールされている。(これは、ある意味マイクロソフトの手抜きで、「東アジアの、あの辺りの連中が使うフォント」という、十把一括りなインストールの仕組みになっているためなんだが。) だから、日本語圏でなくても、中国語圏や韓国語圏の人ならば、Windowsでも日本語表示は問題なくできる。また、アメリカではインストールされていないと言ったが、標準ではインストールされていないものの、提供はされている。(CD-ROMで、または、*.CABファイルで。) だから、アメリカで英語版を買ったユーザでも、コントロールパネルで East Asian Language Supportをインストールすれば、日本語表示ができるようになる。実際、アニヲタの人たちなど、これを入れている人は少なくない。

日本人がアラビア語や韓国語,中国語のプレイヤーの発言を見たとき(該当フォントがインストールされていなければ)も「・・・」のように表示されます。

これはトリッキーだ。が、正しいとは言えない。

上にも書いたことと同様、MacOS では、韓国語フォントも中国語フォントも必ずインストールされる。だから、わざわざ削除しない限り、日本語版のMacOSには、韓国語フォントも中国語フォントもインストールされている。Windowsも、やはり上に書いた通り、アメリカで販売される英語版はだめだが、日本で販売される日本語版のWindowsには、韓国語フォントも中国語フォントもインストールされている。だから、日本語でチャットができている人で、韓国語や中国語が「・・・」のようになってしまうことは、WindowsやMacintoshを使っている限り、あり得ないのだ。

ただし、残念ながら、アラビア語 (アラビア文字) については、「・・・」になってしまう。それは、現在のSLが、アラビア語フォントを使わないように設定されているからだ。なぜ、そう設定されているかというと、実は現在のSL Viewerは、アラビア文字のような右から左に向かって書くスクリプトをうまく扱うことができないから。(偶然にも、私がこのブログを書き始めて二日目に、そういう記事を書いている。) 事実は、アラビア語版ウィンドウズを使っていて、アラビア語フォントがインストールされていても、SL ではアラビア語を使うことはできない、のだ。

英語(半角アルファベット)は,どのOS環境にも入っているので問題なく表示できます。

違う。そういう理由ではない。

SLでは、常に「半角英数字」とされている文字が表示できる、という点は事実だ。しかし、それは「どのOS環境にも」フォントがあるのが常識だから、ではない。SL Viewerの配布ファイル中に、SL専用の英数字フォント (正確に言うと Latin-1フォント) が含まれているから、なのだ。

IMは (中略) フレンドとして登録した人を対象としたクローズドなチャットです。

これも違う。IMを送るのに、フレンドとして登録してある必要はない。フルネームがわかれば、誰にでも送れる。

最後に、技術的ではない点をもう一つ。

セカンドライフに参加している人は日本人だけとは限りません。むしろ,英語圏の外国人の方が多いでしょう。

日本人だけとは限らない、のは正しい。また、日本人よりも、英語圏に住む人の方が多い、というのも正しいようだ。しかし、この書きぶりだと、間違いなく、この著者は勘違いしている。リンデン社が公表している統計データによると、今、SLでいちばん多いのは、ドイツ語圏の人なのだ。次はポルトガル語圏 (主にブラジルの人)。英語圏は第三位。セカンドライフでは、知らない人に前提無しで話しかけるときには、普通英語を使う。それは間違いない。でも、それは、英語圏の人が多いから、ではない。20世紀後半以降、地球では、相手が何語を使うかわからない場合には英語で話しかけるのが常識になっている。だから、SLでもそうするだけだ。著者自身が、この記事で書いているように

多国籍な場所では英語が公用語であるという点は,現実世界もセカンドライフも変わりません。

なのである。SLで、英語で会話をしている人たちの中に、英語のネイティブスピーカーが一人も含まれないことは全然珍しくない。

記事の論旨には賛成なんですよ、これ。SLは英語が原則だから、英語で話しかけられるかもしれないけど、こわがらずに英語で返事しましょうね、って言ってるだけでしょ。でもって、英語の勉強にもなるよ、って。すくに馴れちゃうから大丈夫だよ、って。

まったくその通り。いいこと言ってると思う。

だから、この人が単なるライターさんだったら、別に構わないんですよ、この程度。でもさ、この人の肩書は「リーライター/フリープログラマ」なんですよね。だめだよ、プログラマを自称するひとが、こういうでたらめ書いちゃ。調べればすぐにわかることなんだから。内部の仕組みも知らず、一回も韓国語で話しかけられたこともなくて、「韓国語で話しかけられた場合は…」なんて知ったかぶり書くんじゃねーよ、って感じか。

まー、もしも、この記事読んでたら、こんど in-world で声かけてください。何でもお教えしますから。基本的には、このシリーズ、楽しみに読んでますから。チャラチャラしてなくて、いい紹介になってると思ってますよ。

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